解決 事例17

「有給休暇をとりたい」で解雇

[相談内容]
 Hさんは、都内にあるビジネスホテルに4年近く勤務して、フロント係をしていました。1回16時間の勤務、夕方から翌日朝まで仮眠も余り取れない状態にあり、月15回以上の時もありました。
  今年4月、疲労を回復するため社長に「有給休暇を取りたい」と言ったところ、「う ちには、そんな前例はない!」と拒否、そして解雇。Hさんは、こんなひどい社長を「懲らしめてやりたい!」「解雇は絶対に認められない!」と相談にみえました。
[活動と解決]
 支部役員2人がすぐに、工場から帰宅途中のHさんに会って事情を聞きました。外国人労働者2名を含む10人は、仕事が減少している状況から「解雇」は受け入れざるを得ないが、4月から「雇用保険」の失業給付が何としても受けられるようにしてほしいと希望していました。10人のリーダー役のHさんが、JMITUに加入しました。 Hさんは、JMITUに来るまでに労働基準監督署3回も相談して解決せず、都庁に出向き地元の都議会議員(日本共産党)に会って事情を説明し、地区労を紹介され、そして北部地域支部に加入しました。 JMIU本部で支部役員2名がHさんの事情を聞くと、会社は、「5月の勤務シフト表からHさんを削除」「自己都合退職扱い」の「解雇」を強行し,6月に入ると、雇用保険被保険者「離職票」まで郵送しました。従業員の健康診断も避難・消防訓練もしていないこのホテルは、法律無視の経営が当然視されていました。 6月末、H組合員と支部役員3名で、アポを取らずホテルに行き、社長に面会を求め「要求書」を提出しました。要求のメインは、「5月1日以降の雇用継続と賃金支払い、全従業員に有給休暇の付与」です。団体交渉に応じる姿勢は全くなく、「会社のあり方に不満なら裁判をやれ!」の強行姿勢でした。 直ちに東京都労働委員会に「あっせん」申請し、同時にH組合員は毎日、執行委員とともに第1回あっせん日まで18日間の出勤闘争、フロントに「出勤届」を出しました。また、労働基準監督署に申告書、ハローワークと消防署に要請書を組合として提出し、ホテル前の歩道で2回の未組織宣伝のビラ配布もしました。 社長は、弁護士同行で労働委員会第1回あっせんに臨んできたので、組合は「社長は早期解決の意思あり」と判断しました。職場復帰は出来ませんでしたが、「5ヶ月分相当の賃金支払い」で合意し、1回のあっせんで解決を実現しました。Hさんは、「個人では行政は動かないが、労働組合は行政を動かせる」ことを実感しました。


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